花名刺の歴史

 花名刺とは、京都の舞妓さんが持つ名刺の代わりとなる物です。背景には、季節の花や風景、干支、扇や毬などの道具が描かれ、花名刺という名前から連想されるような、花のみが背景となったものではありません。
 通常、舞妓さんが名刺代わりに配る千社札と意味は同じで、千社札と花名刺の違いは、花名刺はすぐにはもらえないというところです。千社札は本来、神社やお寺などに参拝した際に柱などに貼るものですが、舞妓さんからいただく花名刺も千社札も、もちろん貼る目的ではありません。花名刺は、財布に入れておくと金運が上がるという縁起物としても有名で、大事に持ち歩くものになっています。
 また、花名刺はなじみのお客さんにしか渡されませんので、何度か通ってからでないと手に入れることはできません。サイズは通常の名刺に比べて半分ほどの縦長のサイズで、もともとは着物の図案を用いた手刷りのものでした。最近は印刷したものも花名刺と呼ばれることが多いようですが、本物は今も木版画を使って一枚一枚作られています。
 花名刺は大正末期から昭和初期にかけて活躍した、京友禅の図案家、松村翠鳳が作ったものがその起源で、松村翠鳳は、舞妓さんの雰囲気に合わせたデザインで作った名刺を、自らが「花名刺」と名付けました。つまり松村翠鳳のデザインでなければ、本来は花名刺ではありません。最近は千社札も花名刺と呼ばれることがありますが、本来は異なるものだと覚えておきましょう。現在は舞妓さんだけではなく、芸能人や一般人も作ることが多く、手軽に配るようになりました。こちらはパソコンで作られたものがほとんどで、中には和紙をつかないものも多く、これらは花名刺のコピー品と呼ぶべきでしょう。

↑ PAGE TOP